芙蓉会病院

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コラム「不眠について 第5回」

「不眠について」

このコラムは全5回でお送りします。今回は第5回/全5回です。

 

不眠の治療2⃣原因の同定と薬物療法

睡眠衛生を整えてもやはり不眠が生じてしまうという場合には、不眠の原因を考えた上で、薬物療法を考慮します。

今から約100年前に登場した睡眠薬は、依存性が強かったり、過量服薬で致死的となったりする、いわゆる「睡眠薬は怖い薬」というイメージの原因となるものでしたが、近年主流となっている睡眠薬(たとえばオレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬)は、依存性が存在しなかったり、身体リスクも生じなかったりするものがほとんどです。寝酒をしたり、市販薬を飲んだりするよりははるかに安全ですので、医師にご相談ください。

なお、不眠をきたす原因として、単なる不眠症の他に、リズムの問題(睡眠リズム障害)、精神的な問題(うつや不安からくるもの)、睡眠呼吸障害(無呼吸など)、睡眠関連運動障害(むずむず脚症候群など)などが多く存在し、かつ、これらの病態には睡眠薬はあまり効かないという特徴があります。このため、医師は、患者さんに不眠があったとしても、睡眠薬ではない別の薬を処方したり、精密検査を案内したりする場合があります。

 

不眠でお悩みの時は

ぜひ生活習慣を見直してみた上で、医師にご相談ください。また、当院では睡眠専門医療機関との連携も行っています。適宜ご相談ください。(終わり)

 

◆執筆者◆

志村 哲祥(しむら あきよし)

芙蓉会病院非常勤医師。東京医科大学(睡眠学講座・精神医学分野)所属。

認定資格:精神保健指定医・日本医師会認定産業医・日本睡眠学会専門医

 

2023.3.29

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