芙蓉会病院

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お酒に関するコラム「第6回目 断酒補助会 HALT(ハルト)」

身近なお酒について知ってみませんか?
全6回で「お酒に関するコラム」をお届けします。今回は第6回/6回です。

 

第6回目 断酒補助会 HALT(ハルト)

最後の回は、アルコールリハビリテーションプログラム(ARP)の縁の下の力持ち「断酒補助会HALT」のみなさんの思いを紹介したいと思います。
経験者の方々の言葉は、どんな治療薬よりも回復につなげてくださいます。
コロナでも途絶える事なく、2024年6月で6年目を迎える当院の「断酒補助会HALT」。2024年最初の集まりの際に、アルコール依存症になった経験談や仲間の必要性について芙蓉会ARP卒業生としての思いを話していただきました。

【HALTのみなさんの実際の声】
「アルコール依存症になって今思うこと」
●アルコール依存症=精神科って思わなかった。精神科に入院ってびびった。イメージが良くなかった。病気だと気づく事すらできなかった。
●当初は体が悪いから内科って思ってた。今はSNSで調べられるから、昔の自分らが入退院を繰り返していた頃に比べたらアルコール依存症を知っている人も増えたかな。検索が身近だから専門病院に繋がる人も増えた印象。内科からの紹介(アルコール健康障害対策基本法によっての)も影響あるかね。イメージが良くなっているかな。

「飲酒量増加のきっかけ」
●離婚かな、改めて思えば。仕事以外は飲んでたって事は、きっと仕事の最中も酔ってたと思う。さみしさを紛らわせていたんだろうな。
●学校を卒業して故郷を出た。仕事終わりにみんなで飲んだ。それで終わればよかったんだと思う。帰ってまた一人で飲んだ。職場の配置転換もあったな。ストレスで増えていった。
●20代後半から、休みの日は、なんとなく朝から飲んでた生活。仕事のストレスかな。楽しみは酒だった。コントロール出来なくなっていった。一人で孤独だった。酒は楽しい事ばかりじゃない。飲めば何とかなる?ならないんだ。飲酒してやった事はできているって思っていたけど、実際全くできてなかった。逃げてたのかな。酒を飲んで不安が解消された事はなかった。先送りされただけ。解決なんかできなかった。結局不安だけが残ってストレスも増えるし、お金は減った。上手に飲めたら人生が変わってたかな。酒は友達って勘違いしていた。結局一人。きっと引き金を引く前に原因があったんだ、気づいたときには酒があって当たり前。
●たくさんの仲間も失った。でも入院して仲間に出会った。こうして今を語れる仲間がいる。

「退院後の社会生活について思うこと」
●綱渡り、それも細い綱。いつ滑るか分からない。きっと孤独だったんだろうな・・・。
●アディクション(依存症)の反対語ってコネクション(つながり)って言うじゃない、一人では回復出来ない。ここ(芙蓉会病院)に来て仲間に出会えた。いい仲間に。

以上、HALTの皆さんの声です。
同じ経験を乗り越えた仲間は絆が深まり、さらに新たな仲間の力になっています。困難な状況を体験し、次に向かおうと努力し続けているHALTのみなさんの言葉が、今お酒について悩んでいる方にとってどんなテキストよりも回復に繋がると確信しています。

全6回のお酒に関するコラムをご一読いただきありがとうございました。
(おわり)

 

◆執筆者◆
田中 倫子(たなか みちこ)
芙蓉会病院 看護師

2024.4.24

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