芙蓉会病院

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よくあるお悩み

気分が落ち込む

うつ病とは

気分の落ち込みは誰もが経験するものです。これは、たいてい数日たつと解消します。
しかし、言葉では表現しようがないほどつらい沈んだ気分または興味・喜びの喪失が、ほとんど一日中、ほぼ毎日、2週間以上続き、仕事や日常生活の困りごとが出てきてしまう状態のときは要注意です。

うつ病は、物事に対する考え方や生活環境、日常生活において発生したストレスなどが複雑にからみあって、脳内の神経伝達物質の異常が引き起こされ発症すると考えられています。

精神論、気力で解決できるものではありません。うつ病は、治療が必要な病気です。

うつ病の治療は

「休養」「環境調整」「薬物療法」「精神療法」の4本柱です。

まだまだ休むことがためらわられる社会ではありますが、休むことも大事な治療です。

お伝えしたいこと

次のことが日頃より大切です。

  • 生活リズムを整えること。
  • 病気を正しく理解すること。ご本人だけではなく周囲の方も。「なまけ」や「逃げ」ではないのです。
  • 自分の傾向を知ること。そして難しいことですが、考え方や捉え方(認知といいいます)をやわらかくすること。
  • いつもの様子とは違うといった気づきをそのままにしておかない。自分自身では自覚できないことが多いです。周囲の方の気づきが大切です。
    • まずは自覚しやすい症状に注目
      食欲(エネルギー補給) と 睡眠(エネルギー充電) です
    • 周囲の方も気づきやすい症状
      元気がない、ぼんやりしている、食欲がない、以前からの趣味に興味を示さない、イライラしやすい、体調不良が増える、遅刻や休みが増える

など

次の5項目について当てはまるものをチェックしてみましょう。

  • 毎日の生活に充実感がない
  • これまで楽しんでやれていたことが、楽しめなくなった
  • 以前は楽にできていたことが、今ではおっくうに感じられる
  • 自分が役に立つ人間だと思えない
  • わけもなく疲れたような感じがする

5項目のうち、2つ以上該当していて、それが2週間以上、ほとんど毎日続いていたり、日常生活に支障があったりする場合は、うつ病の可能性があります。

どんな症状がみられるのか

こころの症状

  • 抑うつ気分

    気分が落ち込む、憂うつ

  • 不安・焦り・イライラ感

    ちょっとしたことが不安で、ドキドキする

  • 興味または喜びの喪失

    やる気がでなくなる、好きだったことをしても楽しめない

  • 悲観的

    物事を悪い方向に考えてしまう

  • 希死念慮

    遠くへ行きたい、消えてしまいたいと考える

  • 自責

    自分を過剰に責める、私なんか生きていてもしかたがないと考える

からだの症状

  • 睡眠障害

    不眠または過眠

  • 疲労感・倦怠感

    ちょっとした日常動作がしんどく感じる、すぐに横になりたくなる

  • からだの痛み

    頭痛、頭重感、首筋や肩がこる、背中や胸が痛い、関節が痛い

ほかにも、食欲低下、口渇、動悸、めまい、咽喉頭異常感、胃部不快、頻尿 など
人により症状の種類や程度はさまざまです。

見過ごしやすい、判断が難しい“うつ病”

うつ病ではこころの症状のイメージが強いですが、体調に変化が出ることもあります。体調不良から内科を受診したものの原因がわからず、精神科や心療内科を紹介され、うつ病と診断される場合もあります。また、更年期障害と思っていたり、高齢者であれば年だから、また、認知症と思われていたりするものが、実はうつ病であることもあります。

糖尿病や脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病、がん、心筋梗塞や脳卒中ではうつ病を併存しやすいといわれています。病気そのものや治療薬の影響などで脳の機能に影響を及ぼし、うつ病を発症する場合もあります。

さらに、気分が高まったり(躁状態)、落ち込んだり(うつ状態)を繰り返す病気に「双極性障害(躁うつ病)」がありますが、単なるうつ病と誤解されていることもあります。

その理由として

  • 双極性障害のうつ状態のときは苦しさを感じ受診につながりやすいですが、躁状態のときは「調子がよい」と考えてしまい受診につながらないことも
  • 苦しいうつの状態の話のみが聞かれることが多い
  • 明らかな“躁状態”までではなく、“軽躁状態”で気づかれにくい

などがあります。「うつ病」と「双極性障害(躁うつ病)」では治療が異なりますので大事なポイントです。